令和9年度概算要求から読む来年度の補助金|中小企業向けの要求額と公募時期の目安
令和9年度(2027年度)の概算要求で、経済産業省(中小企業庁を含む)は「中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化等」の項目(産業用地の整備なども含む)として1兆3,841億円(うち「強く豊かな日本」投資枠1兆2,818億円)を要求しています。ただし概算要求は「各省の希望額」で、金額・名称・要件は12月の政府予算案と国会審議で変わりうるため、公募の時期や中身は予算成立後の公表資料で確かめる必要があります。
この記事では、2026年8月31日に中小企業庁・経済産業省が公表した令和9年度概算要求の資料をもとに、中小企業向けの補助金・支援策に関係する要求を整理し、そこから何が読めるか・何がまだ分からないかをまとめます(2026年10月8日時点)。
概算要求とは:各省が財務省に出す「来年度の予算の要求書」
概算要求は、各省庁が翌年度に必要とする予算を財務省に要求するものです。要求のルール(概算要求基準)は毎年夏に閣議了解され、令和9年度分は「令和9年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」(令和8年7月30日閣議了解)で、要求・要望は「8月末日の期限を厳守」とされています。
各省の要求は8月末に出そろい、財務省が取りまとめて公表します。令和9年度分は財務省の令和9年度予算のページに、令和8年9月4日付で各省各庁の概算要求が掲載されています。中小企業向けの中身は、経済産業省の令和9年度概算要求のページと、中小企業庁の「中小企業対策関連予算」に掲載されている「概算要求等ポイント」が一次資料です。
注意したいのは、概算要求は確定した予算ではないことです。このあと財務省の査定を経て金額が削られたり、事業の組み替えが行われたりします。
予算が決まり、公募が始まるまでの流れ
当初予算は、概ね次の順で決まります。予算は内閣が作成して国会に提出し、議決を経る仕組みです(日本国憲法第86条。衆議院が先に審議する点は同第60条)。
| 段階 | 時期の目安 | 令和9年度の状況(2026年10月8日時点) |
|---|---|---|
| 概算要求基準の閣議了解 | 夏 | 令和8年7月30日 閣議了解 |
| 各省の概算要求 | 8月末 | 経済産業省・中小企業庁は2026年8月31日に公表 |
| 財務省の査定 | 9月〜12月 | 進行中 |
| 政府予算案の閣議決定 | 例年12月 | 未定 |
| 国会審議・成立 | 1月〜3月が基本 | 未定 |
| 事業ごとの公募 | 成立後(事業ごとに異なる) | 未定 |
ただし日程は年によって動きます。たとえば令和8年度予算は、政府案の閣議決定が令和7年12月26日、国会提出・審議開始が令和8年2月20日で、年度開始に間に合わず暫定予算(令和8年3月30日成立)を経て、本予算は令和8年4月7日に成立しています。「4月には必ず予算が成立している」とは言えない点に注意が必要です。
令和9年度概算要求のうち中小企業向けの主な要求
中小企業庁「令和9年度 中小企業・小規模事業者関係 概算要求等ポイント」の冒頭には、経済産業省関係の概算要求の抜粋として1兆3,841億円が示されています。経済産業省の概算要求等概要では、この項目(中堅・中小企業の「稼ぐ力」強化と賃上げの好循環の実現等)は「うち投資枠1兆2,818億円」「R8当初913億円、R7補正7,905億円」と並べて書かれています。
主な予算事業は次のとおりです(金額は要求額。かっこ内は資料に記載された比較額)。
| 事業名 | 要求額 | 資料に書かれた主な内容 |
|---|---|---|
| 独立行政法人中小企業基盤整備機構運営費交付金 | 6,980億円(R8当初188億円、R7補正3,400億円) | 中小企業成長加速化補助金、省力化・デジタル化・AI投資補助金、小規模事業者持続化補助金、M&A・事業承継補助金など。「一部既存基金の内数で実施」 |
| 地域の産業クラスター形成に向けたサプライチェーン形成支援補助金 | 2,376億円(R7補正4,121億円) | 2,376億円のうち1,376億円は後年度負担分。このほか事項要求として地域未来予算分あり。※経済産業省資料(01.pdf 6ページ)では新規分の1,000億円を「(新規)」として表示 |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業 | 2,200億円(R8は既存基金の内数で実施) | 革新的製品・サービス開発や新市場進出の設備投資等を支援。売上高10億円を目指す宣言を原則として要件化 |
| 日本政策金融公庫補給金・出資金 | 604億円(R8当初169億円、R7補正40億円) | 同公庫の中小企業・小規模事業者向け融資事業の円滑な実施 |
| 中小企業信用補完制度関連補助事業 | 518億円(R8当初32億円、R7補正152億円) | 信用保証を通じた成長投資の後押し、経営安定のためのモニタリング強化等 |
| 中小企業活性化・事業承継総合支援事業 | 280億円(R8当初139億円、R7補正74億円) | 収益力改善・事業再生、事業承継・事業引継ぎの支援 |
| 小規模事業対策推進等事業 | 175億円(R8当初62億円、R7補正97億円) | 商工会・商工会議所を通じた支援、「成長志向の経営計画(仮称)」の宣言の仕組みの構築等 |
| 成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業) | 128億円(R8当初122億円) | 大学・公設試等と連携した研究開発の支援 |
| 中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業 | 96億円(R8当初33億円、R7補正49億円) | よろず支援拠点、生産性向上支援センター、地域AXネットワーク事業 |
| 消費税・インボイス特別相談窓口・広報事業 | 94億円(R7補正1.6億円) | 相談窓口・税理士派遣、スマートレジシステムの普及プロモーション |
| 地方公共団体による小規模事業者支援推進事業 | 73億円(R8当初14億円、R7補正53億円) | 自治体による小規模事業者の経営改善発達等の支援 |
| 中小企業取引対策事業 | 40億円(R8当初30億円、R7補正7.6億円) | 価格転嫁・取引適正化、取引Gメンによる実態把握等 |
このほか同資料には、賃上げ促進税制の見直し、中小企業経営強化税制の拡充、事業承継税制の抜本見直しなど、税制改正要望も並んでいます。税制は予算とは別に、年末の税制改正大綱と翌年の法改正で決まります。
令和9年度の特徴:「補正予算頼み」から当初予算へ寄せる方針
これまで中小企業向けの大型補助金は、補正予算で措置されることが多くありました。令和7年度補正・令和8年度当初予算のポイントでは、中小企業等関係予算が「令和8年度当初案+令和7年度補正」で「889億円+8,364億円」と示されています。中小企業成長加速化補助金などを含む「中小企業生産性革命推進事業【3,400億円】」や「中堅等大規模成長投資補助金【4,121億円】」は、令和7年度補正で措置されたものです(令和7年度補正予算は令和7年12月16日成立)。
令和9年度の概算要求では、この構図を変える方針が示されています。閣議了解では、通常の歳出とは別に**『「強く豊かな日本」投資枠』**を創設し、「補正予算依存から脱却し恒常的な施策を当初予算に計上するため、適切に要求・要望」するとしています。財務省の『「強く豊かな日本」投資枠』の予算編成についての考え方によると、この枠は要求上限を設けず、複数年度の計画に基づくものを基本とし、費用対効果を精査するとされています。
前の表で中小機構運営費交付金がR8当初188億円から6,980億円の要求になっているのは、例年なら補正予算で積んでいた分を当初予算の要求に乗せていると読めます。比較欄に「R7補正3,400億円」が併記されているのも、その比較のためと読めます(資料に理由の記載はありません)。
経済産業省関連の合計も7兆7,859億円と、令和8年度当初予算額の3兆693億円を大きく上回ります(経済産業省の概算要求等概要)。ただし、令和8年度当初に令和7年度補正(2兆2,009億円)を足した5兆2,702億円と比べても、要求額のほうが約2.5兆円多くなります。AX(AI・半導体・ロボット)の1兆9,913億円や、経済安全保障・防衛産業基盤強化の1兆5,472億円(R8当初427億円)など、投資枠での大きな新規要求があるためです。補正予算からの移し替えに加えて、投資枠での新規要求も大きいというのが実態で、要求額の伸びがそのまま「中小企業への支援の伸び」を意味するわけではありません。
概算要求の段階で分かること・分からないこと
概算要求の資料から読み取れることと、まだ読み取れないことを分けておきます。
| 分かること | まだ分からないこと |
|---|---|
| 国がどの分野・どの補助金を続けたい(新設したい)か | 最終的な予算額(査定で変わりうる) |
| 要件の方向性(例:新事業進出・ものづくり補助事業での「売上高10億円を目指す宣言」の原則要件化) | 補助率・補助上限額・対象経費の細部 |
| 補助金の名称案(例:要求では「省力化・デジタル化・AI投資補助金」) | 正式な事業名や対象範囲(統合・再編かどうかを含め変わりうる) |
| 当初予算と補正予算のどちらで措置しようとしているか | 公募の開始時期・回数・締切 |
とくに要件の方向性は早めに把握しておく価値があります。資料には「成長志向型の中小企業をより多く創出していく観点から、売上高10億円を目指す宣言を原則として要件化」と書かれており、事業計画の立て方に関わる可能性があります。ただし最終的な要件は公募要領で決まるため、公募要領で必ず確認してください。なお、小規模事業者持続化補助金の項目にある「成長志向の経営計画(仮称)」は、資料上「宣言する者を含む小規模事業者等」の販路開拓等を支援するという書き方で、要件化するとは書かれていません。
名称についても注意が必要です。現行の「デジタル化・AI導入補助金」は、令和7年度補正の「中小企業生産性革命推進事業」で措置されたものです(令和7年度補正・令和8年度当初予算のポイント)。令和9年度の要求にある「省力化・デジタル化・AI投資補助金」は省力化設備の導入も一体で支援するとされており、対象範囲が変わる可能性がありますが、既存の補助金を統合するものかどうかは資料からは分かりません。
公募はいつ頃か、今からできる準備
公募時期は「予算成立後」が基本で、事業ごとに異なる
当初予算で措置される事業は、予算の成立後に事務局の選定などを経て公募が始まるのが基本です。成立日自体が年によって前後する(令和8年度は4月7日成立)うえ、事業ごとに準備期間が違うため、「何月に公募が始まる」とは言えません。
また、令和9年度は補正予算から当初予算への移行が方針として示されている一方、実際の予算でどこまで当初予算に乗るかは12月の政府予算案を見るまで分かりません。年度途中に補正予算が組まれる可能性も含め、公表資料を追う必要があります。
今からできる準備
- GビズIDプライムを取得しておく:国の補助金の電子申請(jGrants)などで使う共通認証です。GビズID公式サイトによると、マイナンバーカードを使ったオンライン申請のほか書類郵送での申請もあり、書類申請は審査に最大1か月かかります。取得済みの場合も、有効期限(GビズIDプライムはアカウント発行日から2年3か月で、更新が必要)を確認しておきましょう。
- 自社の数字を整理しておく:新事業進出・ものづくり補助事業で「売上高10億円を目指す宣言」の原則要件化が示されているほか、「早期の賃上げに向けた補助金の見直し」という項目もあります(賃上げ水準の要件見直しが具体的に書かれているのは税制の項目です)。そのため、売上・給与総額の推移や今後の投資計画を説明できるようにしておくと、公募要領が出たときに判断が早くなります。
- 相談先を確認しておく:要求にはよろず支援拠点や商工会・商工会議所を通じた支援の拡充も含まれています。地域の支援機関に、公募が出たら相談できる関係をつくっておくのも一つの方法です。
- 12月の政府予算案と、その後の中小企業庁の「予算等のポイント」を確認する:概算要求からどう変わったかが、ここで初めて分かります。
まとめ
- 令和9年度の概算要求で、「中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化等」の項目(産業用地の整備なども含む)は1兆3,841億円(うち「強く豊かな日本」投資枠1兆2,818億円)。中小機構運営費交付金6,980億円、新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業2,200億円などが並ぶ。
- 令和9年度は「補正予算依存からの脱却」が方針として示され、これまで補正で措置されてきた補助金を当初予算で要求している。前年度当初との比較で金額が大きく見えるのは、この移し替えに加えて投資枠での新規要求も大きいため。
- 概算要求は確定額ではない。金額・名称・要件は財務省の査定、例年12月の政府予算案、国会審議を経て変わりうる。
- 公募時期は予算成立後で、事業ごとに異なる。日付を決め打ちせず、政府予算案と公募要領で確認する。
- 今のうちにできるのは、GビズIDプライムの取得、自社の売上・給与・投資計画の整理、支援機関との関係づくり。
自社で使える補助金を、まとめて追う
※本記事はAIによる自動生成を含みます。分析結果は参考情報であり、法的助言・行政書士業務ではありません。具体的な対応については専門家にご相談ください。
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